新世界史

世探706
B5変型判(230㎜×174㎜)410ページ
「考える歴史」の時代に向けて新しく生まれ変わった『新世界史』
  • 現代世界を知るための歴史的視座を養う教科書
  • 「考える」「理解する」「追究する」教科書
  • 図版・地図・史資料を読み解く力がつく教科書
編者・著作者
[編者]
  • 木村 靖二東京大学名誉教授
  • 岸本 美緒お茶の水女子大学名誉教授
  • 小松 久男東京大学名誉教授
  • 橋場 弦東京大学教授
[著作者]
  • 阿部 幸信中央大学教授
  • 池田 嘉郎東京大学准教授
  • 勝田 俊輔東京大学教授
  • 島田 竜登東京大学准教授
  • 林 佳世子東京外国語大学学長
  • 村上 衛京都大学准教授
[編集協力者]
  • 石井 栄二東京都立国立高等学校教諭
  • 藤本 和哉筑波大学附属高等学校教諭
メッセージ
編者
木村靖二
きむらせいじ
東京大学名誉教授(ドイツ近現代史)

この新しい世界史では、古代から現在までの歴史過程を、それぞれの地域での文明の成立期、各文明の交流期、さらに欧米文化による世界の一体化期、そして一体化が深化したグローバル化世界の4期に分けています。つまり歴史を、各地域を軸に、それらが時間とともにどのように変容してきたのか、また各地域が相互にどのように交流したり、競合したり、対立したり、合同したり、分離したりしたのかをみていくのです。そのなかで各地域もさまざまに変容し、拡大したり、縮小したり、あるいは消滅したりすることもおこりました。

グローバル化の深化とともに、各地域・国家は同質的な構造の世界に変容していくかのように見えてきました。しかし、グローバル化した世界では、地域や国家の多様性がかえって増大しているのです。たとえば、先進地域の人口は現在停滞か縮小に向かっています。一方、発展途上地域では人口は増えつつあり、両地域の格差や対立が広がりつつあるのではないかと指摘されています。こうした問題を理解するには、個々の地域や歴史などそれぞれの特有な形成過程から、グローバル化した世界を考える視点が求められます。歴史総合で学んだことを踏まえて、その理解をさらに深める助けとなるよう願っています。

編者
橋場 弦
はしばゆずる
東京大学教授(ギリシア古代史)

第Ⅰ部の1・4章と第Ⅱ部の7章では、ヨーロッパに文明が生まれ、周辺諸地域と交流しながら変容し展開していく流れが描かれています。

のち世界の一体化を主導していくヨーロッパ文明ですが、その誕生の起源をたどると、実は西アジアやエジプトの古代文明から色濃く影響を受けていたことがわかります。近年、ポスト=コロニアリズムの影響を受けて西欧中心主義的な歴史観が反省を迫られていますが、古代ギリシア・ローマ文明の見方も例外ではありません。ポリスという都市国家を古代ギリシア人が建設するにあたっては、オリエント文明からさまざまなアイデアを取り入れました。ローマ人はその都市国家体制からスタートして、ついには地中海世界を統一しました。ローマ帝国が崩壊したあとに成立した西ヨーロッパ世界は、やがて近代資本主義体制の中核としての地位を獲得していきます。ユーラシア大陸西端の一地域にすぎなかったヨーロッパが、近代世界の成立に大きな役割を果たすようになった背景には、それ以前から積み上げられていたさまざまな歴史的条件が働いていたと言えます。

今回の教科書では、その一連のつながりがわかりやすいように構成を大きくあらため、設問や史料も一新して、近代以前のヨーロッパ世界の成り立ちがより明快に把握できるよう配慮しました。

編者
岸本美緒
きしもとみお
お茶の水女子大学名誉教授(中国明清史)

世界史教科書の作成においては、一定のバランスと安定性を保ちつつ、歴史研究の進展に即応した新しい内容を取り入れていくことが課題となります。今回、「世界史探究」という新しい科目の教科書として『詳説世界史』を編集するに際しては、気鋭の研究者を多数新たな執筆陣として迎え、近年の歴史研究の成果に基づき、内容の刷新を図っています。

東アジア・東南アジアに関しては、諸地域間の影響・対立関係や文化的融合の状況について現行版以上に留意し、一国史の束にとどまらない歴史のダイナミックな動きを読み取っていただくよう工夫しています。図版や史料も、そのようなポイントを考慮して、いわゆる定番ではない新味のあるものも選ばれていますので、「問い」と合わせて、本文と有機的に結びつけて活用していただければ幸いです。

用語の選択については、今までゴチック体であった語を注に移しているなど、従来との相違にお気づきの点もあるかと思います。これらは、単位数削減に伴う用語精選の必要とともに、研究の現状に依拠するという観点から、今後のスタンダードとなることを見据えて、教科書としての安定性も考慮しつつ慎重に検討した結果のものです。これらの新しい特色を生かして授業・学習をおこなっていただくことを願っています。

編者
小松久男
こまつひさお
東京大学名誉教授(中央アジア近現代史)

今回の執筆は教科書の構成と内容を大きく見直す機会となりました。全体として最近の研究成果を取り入れるとともに、世界史理解のバランスをとるように努めました。私が担当した部分での新しさとしては、下記の点を挙げることができます。

従来の地域名称「内陸アジア」を「中央ユーラシア」に改め、遊牧民の活動が東アジアや西アジアなどユーラシアの各地に与えた影響や相互関係が理解しやすくなるようにしました。中央ユーラシアを統合したモンゴル帝国については、同時代の東西交流の説明を拡充し、ティムール朝はモンゴル帝国に続けて解説することで両者の関係性がわかるように工夫しました。

西アジア関係ではイスラーム教成立後の記述を一新し、イスラーム世界の広がりと役割をより鮮明とするように努めました。文化面にも目配りしたほか、オスマン帝国については成立から近代に至るまで見通せるように配慮し、現代の中東については重要なテーマとしてパレスチナ問題とイスラーム主義の展開に留意しました。

また、図版については歴史的なイメージを喚起するものを採用しました。たとえば、世界地図「混一疆理歴代国都之図」(教科書147頁)などは是非じっくりと見ていただきたいと思います。

この教科書の特徴
教科書の特徴
  • 1
    現代世界を知るための歴史的視座を養う教科書
    • 歴史の流れがわかりやすい記述、出来事の歴史的背景が理解できるように意識した叙述に努めました。
    • 世界史を学ぶうえでキーとなる概念や、現代の諸問題の背景となる事項について、70を超える「コラム」を設けて、深掘りし、難関大入試の論述対策にも使えるくわしい解説をしています。
  • 2
    「考える」「理解する」「追究する」教科書
    • 400近くの問いを用意しました。各章の冒頭にはその章の重要事項に関わる問いを、章末にはまとめとなる問いを置き、歴史の大きな流れを構造的に意識できるよう工夫しています。
    • 本文中にも数多くの問いを設け、生徒が自身で調べ、考え、発見することを通して、歴史的な考え方や課題の追究の仕方を学べるよう留意しました。
  • 3
    図版・地図・史資料を読み解く力がつく教科書
    • 「資料から考える」のコーナーをもうけました。写真や地図、図表で読み解く技能が身につくような発問も付しています。
    • 文字史料も20ほど用意し、それぞれに問いを付し、読み解く視点を示しました。